フェラーリ F355のフロントフェンダーに七宝焼きのスクーデリア・フェラーリ・フェンダーエンブレムを後付けするための板金加工作業をご紹介致します。
フェラーリ純正オプションのスカリエッティープログラムではフェンダーに加工してヘコミを作り、エンブレムがフェンダーに埋め込まれた状態で仕上っています。
しかし、フェラーリ F355に純正オプションでこの七宝焼きエンブレムが装着されている例は少なく、フェラーリ F355オーナーにとってこのエンブレム装着は一種の「憧れ」となっているそうです。
今回ご紹介する板金による埋め込み加工は大変な手間と技術とコストがかかるため、実際に作業を依頼するフェラーリオーナーさんは多くはありません。
一番安上がりな方法ではステッカーを張り付け、たまに七宝焼きエンブレムを埋め込んだフェラーリ F355を見かけたかと思い、よく見てみると、エンブレムの形にフェンダーを切り抜き、切り取った鉄板をオフセットさせて部分溶接しシーラーとパテで成形していたりします。
今回ご用命下さったフェラーリ F355のオーナー様は、切り抜きではなく、純正オプションと同じように板金加工で作業して欲しいと強く要望されました。
■作業内容
先ずは何といっても道具が必要です。ラウンドしているフェラーリのフェンダーをエンブレムの形に凹ますための「型」を用意しなくてはなりません。
この「型」、どこかで売っているわけではないので独自に作りました。エンブレムの寸法を正確に計測し、適切な「型」の板厚を決め、専門業者に特注してレーザーで切ってもらいました。
凹凸それぞれの型を作り、表と裏からフェンダーを挟んで板金加工するのです。
フェンダーにマーキングして七宝焼きエンブレムの取り付け位置を決めます。
予め、純正オプションのスカリエッティープログラムで装着されたフェラーリ F355等から取付位置は調査済みです。数ミリの個体差があることも確認済みですので、それを踏まえ位置決めをしました。
塗膜を削り落し、「型」を装着します。七宝焼きエンブレムの裏側には3本のボルトが付いているのでそのボルトが通る穴をフェンダーに3箇所開け、その穴を利用してフェンダーを表裏から挟んでボルト&ナットで固定します。
フェンダーの裏側です。凹の型が装着されています。
「型」をハンマーで叩いたり、ボルト&ナットを締め上げたりして、少しずつフェンダーを凹ませます。
七宝焼きエンブレムをフェンダーに当てがい、ヘコミ具合やガタを何度も確認しながら、フェンダーを加工します。
湾曲しているフェンダーとエンブレムをフィットさせるため、「型」の湾曲具合もハンマーで叩いて調整します。こんな作業を何度も何度も繰り返します。とても根気の要る作業です。
ハンマーやたがねで高い部分を叩いたりもします。
こうして七宝焼きエンブレムの形にフェンダーを凹ませることができました。
でもここからがまだまだ大変なのです。これだけフェンダーを凹ませたわけですからその周りの鉄板は引っ張られ、歪んでしまっています。
フェンダーの加工によって歪んだ周辺部位を板金します。
取り付けの最終確認を行います。七宝焼きエンブレムはキチンとフェンダーにフィットしています。
鉄板の表面を綺麗に仕上げ、脱脂を行いパテを付けます。
パテを研ぎ、板金加工作業が終わった状態です。凹み加工したエンブレム取り付け部はパテでの成形は一切していません。
ここまでで板金の職人が費やした時間は正味10日間程です。
フェンダーの裏側もキレイです。火で炙ったりしていないので、裏側の焼けもありません。
フェンダーの裏側にチッピングコートを塗装し、仕上げるとこのようになります。
サフェーサーを塗装します。ここからは塗装職人の仕事になります。充分な加熱乾燥を行い、時間をかけて塗膜をしっかり硬化させます。
その後耐水ペーパーを使い、硬化したサフェーサーを研ぎ平滑に仕上げます。
塗装ブースの中で、ゴミやホコリを付けないように細心の注意を払い、フェラーリ独特の塗装肌を再現させます。
加熱乾燥により塗膜を完全硬化させてから、磨き作業を行います。
完成です!!どこから見ても後付けとは思えない仕上りとなりました。
フェラーリ F355のオーナー様にも大変ご満足していただきました
大切なお車を何事も無かったかのように
大切なお車を
何事も無かったかのように
インターパシフィックは長年にわたり高級輸入車の板金塗装を数多く手掛け、技術を磨いて参りました。
難易度の高い修理に対応する最新設備を導入し、厳選した塗料や材料を使用することで、高い修理品質を実現しております。
私達は、大切なお車が「ちゃんと元通りに直るのだろうか?」というお客様の不安を安心と喜びに変えることを最大の使命と考え、完成まで一切手を抜きません。
どこをどう直したのか全く分からないように、完璧な仕事を心掛けております。