アルミパネルの板金 | 板金塗装はインターパシフィック

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板金塗装の作業工程

板金塗装の作業工程

2020/8/28

アルミパネルの板金

近年、車体の軽量化を目的として、自動車の車体や外板パネルにアルミニウムを採用する車が多くなっています。
軽量化の目的は走行性能や燃費の向上です。アルミニウムは比強度が鉄の約2倍です。従って、設計強度で同じ強度の部品を得ようとすると、アルミニウムの部品は鉄の部品に比べ重量を半分近くまで軽量化することができます。

車の走行性能や燃費が向上するということは大変すばらしい事なのですが、事故などでアルミのパネルをへこませてしまったりすると、鉄のパネルに比べ修理が難しい、修理費用が高いという問題が生じます。

フェンダーやドア等、アルミニウム製の車の外板パネルの板金修理は鉄に比べてとても難しいのです。そのため鉄のパネルであれば簡単に板金できるレベルのダメージでもアルミのパネルでは板金できずに新品パネルに取替えとなってしまうことが多いのです。
またアルミの新品パネルは高額なので、部品代と工賃を合わせた修理代がとても高くなってしまいます。そのため自費での板金塗装 修理の場合にはカーオーナーさんの金銭的なご負担が多くなってしまいます。

ではどうしてアルミパネルの板金は難しいのでしょうか。
アルミニウムは非常に繊細なので、引出したり叩き出したりしてへこみを直す板金作業によってクラックや割れが生じやすいのです。鉄製のパネルの場合にはそういう心配はあまりありません。
もう一つには、アルミニウムの溶接特性の問題です。へこんだパネルを板金で修理する場合、パネルの裏側に作業者の手が入れば、当て板などの工具を使って裏から凹みを押し出し表側からは板金ハンマーで軽く叩きながら面を整えていくことができるのですが、パネルの裏側に手が入らない場合にはへこんだ部位にピンやワッシャーなどのビットを溶接し、へこみを表側から引出して板金作業を行わなくてはなりません。
しかしアルミニウムは、集中した熱が加わり難く融点が低いので、溶接がとても難しいのです。
鉄の約3倍も熱が逃げやすいのに溶融温度が低いので溶け落ちし易いのです。つまり溶接の開始段階では熱伝導が良いので、熱が逃げて溶け込みにくく、融点は低いので、途中から急に溶け落ちしてしまうという現象が起こるのです。そのため自動車のアルミボディのような薄板材料の場合には特に溶接の入熱管理が難しくなるのです。
さらにアルミは鉄に比べて溶接によるひずみが大きくしかも取りにくいのです。

※他にも溶接を難しくする特性がいくつかあるのですが、ここでは省略いたします。

そのような理由があり、自動車の鈑金塗装に於いてはそれほど大きな損傷ではなくても板金はできないと判断され、新品パネルに交換という高額な修理見積が提示されてしまうのです。

しかしアルミボディの車が珍しくなくなった昨今、アルミ補修が必要とされています。
インターパシフィックでは最新のアルミ専用のスタッド溶接機を導入し、アルミパネルの板金修理を行っていますので、その手法についてご紹介いたします。

低いブロック塀にドアとステップカバーをぶつけてしまったアウディTTのアルミ製ドアパネルの板金作業です。
鉄のパネルであればどうということのない、大したことのないへこみなので板金作業は簡単です。しかしアルミ製となるとこの程度でも簡単にはいきません。

イタリア TELWIN(テルウィン)社製のアルミスタッド溶接機を使ってへこみを修理していきます。熱が加わり難いのに溶けやすいアルミの溶接特性のため、従来のスタッド溶接機ではへこみの急所を引出し作業に耐えられる強度で溶接することができませんでした。


へこみに引出しのためのビットを溶接します。電流が低いとしっかり溶着しませんし、高いとアルミは簡単に溶けて穴が開いてしまいます。引き作業に耐えられる強度でビットを溶接するのがとても難しいのです。

アルミは酸素と反応して5分程で酸化膜ができてしまいます。酸化膜があると通電性が悪くなり溶接が難しくなります。酸化膜は無色透明ですので目視ではわかりませんので、研磨紙などで表面を磨きながら酸化膜を除去し、アルミ製のビットを溶接していきます。

小さなエクボのような凹みではないので、ビットを並べて複数溶接します。

プリングバーという引出しツールを用いて、繊細なアルミパネルを少しずつ慎重に引出します

ハンドルを回すとビットにアルミパネルを引っ張る力が加わります。

アルミは冷えた状態で引き出そうとするとクラックや割れが生じやすく、とても繊細です。そのためガスバーナー等で200℃程度の余熱を加え、母材を柔らかくしながら慎重に引出します。

表面をアルミハンマーで軽く叩きながら板金します。


引出し板金が終わるとアルミ製のビットをニッパーで切断します。ビットをねじって取ろうとすると、アルミパネルに穴が開いてしまうのでニッパーで切断します。

そして残ったビットや溶接の焦げをベルトサンダーできれいに削り落とします。

僅かに残る凹凸にはパテを付けて平滑に成形します。

板金した部位にサフェーサーを塗布し、しっかりとシールします。赤外線ヒーターで加熱し十分にサフェーサーを硬化させます。

ゴミや埃をシャットアウトした塗装ブースの中で熟練の塗装職人が丁寧に塗装を行います。

へこんだパネルは元通り綺麗になりました。
自費での修理の場合には、ディーラーなどで板金ができないと言われ、新品パネル取替の高い見積額を提示されると、さすがにカーオーナーさんもはいそうですかとその場では修理を依頼せず、他社に車を持ち込み見積を比較検討されるかと思いますが、車両保険に入っていると、そんなに修理代がかかるならと保険を使って修理されるカーオーナーさんもいらっしゃると思います。
しかし今時は保険を使うと翌年からの保険料の値上がりが大きくなるので、板金でアルミパネルが直せるのであれば、保険は使わずに自費で修理したほうが良い場合も多いかと思います。

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代表 千村尚紀

インターパシフィックは長年にわたり高級輸入車の板金塗装を数多く手掛け、技術を磨いて参りました。
難易度の高い修理に対応する最新設備を導入し、厳選した塗料や材料を使用することで、高い修理品質を実現しております。

私達は、大切なお車が「ちゃんと元通りに直るのだろうか?」というお客様の不安を安心と喜びに変えることを最大の使命と考え、完成まで一切手を抜きません。
どこをどう直したのか全く分からないように、完璧な仕事を心掛けております。

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