福井県にお住いのお客様より、フォルクスワーゲン トゥーランの板金塗装修理を依頼されましたのでご紹介します。
お客様は、国道沿いのお店に入る際に対向車が途切れるのを待っていたところ、前方不注意の車にフォルクスワーゲン トゥーランの左後部を追突される被害に遭ってしまい、加害車輌側の対物保険で修理する事になりました。
今回の事故ではフォルクスワーゲン トゥーランの骨格部分への損傷も大きいことから、お客様は事故による骨格への影響がどこまでどの程度あるのかが心配で、その損傷や骨格の歪みの程度を明確に数値化して欲しいとのご要望がありました。
事故直後には地元のディーラーに入庫させ、保険会社も交え作業方針等の打合せを進めていたそうですが、上記ご要望の部分への対応がディーラーでは困難となり困っていたところで、当社で保有するセレットナジャ三次元ボディ計測機の存在を知りお問い合わせをいただきました。
セレットナジャ三次元ボディ計測機を使えば、アンダーボディの歪みを前後・左右・上下の三次元で計測でき、その歪みがどの部位でどの程度の数値かをプリントアウトしお客様や保険会社へ提示することが可能で、当社であれば今回のお客様のご要望にお応えする事ができます。
またお客様は、お車もまだ新しく大切にしていたこともあり『保険で新車に買い替えて欲しい』と言う気持ちを抱きつつも、それはなかなか叶わないことは理解しており、どうせ直すのなら『何事も無かったように綺麗に直したい』と言う事で、かなり遠方の福井県からではありますがインターパシフィックにお車の修理をご依頼いただくきました。
先ずはお預かりしたフォルクスワーゲン トゥーランの損傷確認から始めます。
左リアドアとクォーターパネルの隙間がとても狭くなっており、追突によりこの隙間が詰まってしまっている事が外観の目視だけでも分かります。
テールランプやリアバンパーを外すと、ランプハウジングからバックパネルにかけても大きく変形している事が確認できます。
ラゲッジルームのトリムを外すと、クォーターインナーパネルも上から下まで大きく変形している事が確認できました。
先ずはフレーム廻りの歪みの計測をします。
リフトアップした車両の下にセレットナジャ三次元計測機を設置し、パソコン内の車種ごとのデータを基に各指定ポイントを計測した結果、左サイドメンバー後端部のパイロットホールが、前方方向に基準より1.5mm程ずれていることが判りました。
この結果は実際の損傷状態とも合致しており、お客様と保険会社に報告しました。
計測結果も踏まえ今回のフォルクスワーゲン トゥーランの作業方針は、左クォーターパネル・テールゲート・リアバンパーの取替塗装、テールランプ・マフラーの取替とクォーターインナーパネルとバックパネルやサイドメンバーの修正板金及び塗装という内容になりました。
作業工程の流れとしては、先ずフレーム廻りの修正をしてから外板パネルの取替、各パネルの塗装、その後に外した部品の組み付けや新品部品への取替という流れで進めます。
今回はフレームの修正が必要になりますので、フレーム修正機に車両を固定する事になります。
当社ではフランス セレット社製の修正機を使用しており、セレットのユニバーサルジグ「カメレオン」を使用してフォルクスワーゲン トゥーランのフレーム修正を行います。
カメレオンは、セレット社よりオンライン提供されるデータシートに基づき車両の修正作業や損傷診断に使用できます。
最新のカメレオンジグでフレーム修正機に固定したフォルクスワーゲン トゥーランの各パネルの損傷部分を油圧の力で少しづつ慎重に引き出します。
先ずはバックパネルの左角部分の引き出しに掛かります。
この部分は、真後ろだけでなく少し斜め方向にも引き出す必要があり、この様に2台のプリングユニットを駆使して引き出しました。
テールランプハウジング部分を引き出します。
Dピラーにクランプを噛ませ、クォーターインナーパネルの変形を修正します。
最後に左サイドメンバー部を引き出し、フレーム修正機を使った修正作業は完了です。
上が修正作業前のリアドアとクォーターパネルの状態です。
そして車体の引き出し作業が完了した後のリアドアとクォーターパネルの状態です。
最初の写真に比べ隙間が広がり、正規のクリアランスに戻っています。
この後、もう一度セレットナジャ三次元計測を行い、前方へずれていた左サイドメンバー後端の計測箇所が基準値内に収まっている事を確認しております。
続いてパネルの交換作業に取り掛かります。
クォーターパネルはスポット溶接部を剥がし、Cピラー・Dピラーとロックピラーの3箇所でカットしパネルを取り外します。
新品のクォーターパネルはボディ側のカット部にピッタリ収まる様にカットし、Dピラーホースメントと共にボディに溶接して取り付けてしまうと見えなくなる裏側を先に塗装してしまいます。
Dピラーホースメントをボディに溶接します。
次にクォーターパネルの各ピラー部のパネルの切り継ぎ部分を先ずは点留めで溶接します。
この時点でテールゲートやテールランプを仮付けして、立て付けやパネルとパネルの間の隙間の確認をします。
パネル合わせ目の点留めしていた部分の溶接とスポット溶接を完了させ、切り継ぎ部分をパテで成形しクォーターパネルのボディへの取り付け作業は完了です。
今度は内板部分の板金に取り掛かります。
クォーターインナーパネルやラゲッジフロアの複雑な形状のパネルも丁寧に板金します。
トリム類を組み付けてしまえば見えなくなってしまう部分ではありますが、この様な隠れてしまう部分でもパテを付けて綺麗に成形します。
クォーターパネル全体にプライマーサフェーサーを塗装してしっかりシールし、充分に加熱乾燥させます。
パネルの繋ぎ目にシーリングを施し、必要に応じて刷毛等で模様を付けてオリジナルの雰囲気を再現します。
内板パネルを塗装します。
ここは外板パネルと違い、オリジナルでもしっかりと塗装されている部分とそうでない部分があるので、シーリングと同様にオリジナルの雰囲気を再現する様に塗装します。
外板パネルの塗装の前に、ロックピラーとテールランプハウジングからバックパネル廻りまで塗装します。
ゴミや埃をシャットアウトした塗装ブース内で、熟練の塗装職人がフォルクスワーゲン トゥーランの塗装肌や質感を再現すべく丁寧に塗装します。
テールゲートの裏側と表側の両面を丁寧に塗装します。
国産車のバンパーは色付きで供給される車もありますが、ほとんどの輸入車は無塗装での供給になりますので、ボディパネル同様に丁寧に塗装します。
テールゲートをボディに取り付けたら、ゲートヒンジ部の取付ボルトを塗装します。
このボルト塗装をしないと、ゲート脱着時の工具による塗装剥がれがそのままになり錆てしまい美観が損なわれるだけでなく、ボルトをいじった事が明らかでゲート交換の事実が明確になり易く、後々の査定への影響も大きくなってしまいます。
取り外していた部品や新品のテールランプ・マフラー等を車体に組み付け、電装部品の作動チェク・室内清掃や洗車をし、最終仕上げ磨きをしてフォルクスワーゲン トゥーランの鈑金塗装修理は完了です。
今回のフォルクスワーゲン トゥーランの保険会社との協定修理費用は、部品代が745,966円と作業工賃が970,100円の合計1,716,066円(税込)となりました。
このたびはインターパシフィックにフォルクスワーゲン トゥーランの鈑金塗装修理をご依頼いただき誠にありがとうございました。
元通り綺麗に直ったフォルクスワーゲン トゥーランを大切にお乗りください。
大切なお車を何事も無かったかのように
大切なお車を
何事も無かったかのように
インターパシフィックは長年にわたり高級輸入車の板金塗装を数多く手掛け、技術を磨いて参りました。
難易度の高い修理に対応する最新設備を導入し、厳選した塗料や材料を使用することで、高い修理品質を実現しております。
私達は、大切なお車が「ちゃんと元通りに直るのだろうか?」というお客様の不安を安心と喜びに変えることを最大の使命と考え、完成まで一切手を抜きません。
どこをどう直したのか全く分からないように、完璧な仕事を心掛けております。